畳の力は“心身に働く”
一昔前の日本の家屋には、畳の部屋はいくつもありましたが、現在は畳のある部屋は少なくなりつつあります。しかし、本来畳は日本の風土や生活様式に最適な部屋であり、人々が生活するうえで、多くのメリットがあります。誰もが畳の恩恵を受けてることができます。もっと畳のことを知れば、きっと畳の必要性を実感することでしょう。
畳って何?
畳は畳床・畳表・畳縁の3つからできています。
何重にも重ねた稲藁(いなわら)を圧縮して作られた「畳床」に、イ草を編みこんで織られた「畳表(たたみおもて)」を上からかぶせ、長辺に「畳縁(たたみぶち)」を縫い付けて畳になります。
最近では、畳本体の素材も形も多様化していますが、基本的な構造は変わることはありません。
畳のキーマン・イ草
私たちが直接触れている「畳表」はイ草でできていて、このイ草が、私たちに多くの恩恵を与えてくれています。
原産国はインドで、朝鮮半島を渡って日本へ入ってきました。湿度の高い地域に育ちやすく、酸性の土壌に強い植物です。元々、薬草として利用されていました。つまり、食べることができる植物です。
時代を経て、敷物へと展開していきました。つまり、和室の床全体が薬草でできているということです。
しかも、イ草には私たちが快適で健康的に生活できる機能をたくさん備えているのです。
イ草の構造が「気持ちいい!」を作っている
い草は六角形の細胞壁が柔らかい立体柔組織で星状細胞で構成されています。
その繊維と繊維の間は中空で節があり小部屋がたくさんあります。これがスポンジ構造による気持ちよさにつながっているのです。
この空洞が、イグサの驚異的な調湿機能をつかさどっています。
い草の力:空気浄化『天然の空気清浄器』
- イ草の断面はスポンジ状になっていて、細胞にも細かい穴があるため、優れた調湿効果があります。また、有害物質である二酸化窒素やシックハウス病の原因とされるホルムアルデヒド等吸着し、分解する能力があります。また、アンモニアなどの臭いも消してくれます。
- 有害物質である二酸化窒素やシックハウス病の原因とされるホルムアルデヒド等吸着し、分解する能力があります。また、アンモニアなどの臭いも消してくれます。、まさに空気清浄機の役割を果しているといえます。
- 吸放湿作用で、室内の湿度を40%に保つ働きをします。
- イ草の表面には細かい縦のすじがあり、この筋とイ草の一本一本の隙間や縦の凹凸のおかげで、肌にさらりとした感触になります。
い草の力まとめ
- 保温・断熱性に優れている
- い草の断面が、スポンジのようになっていることから、空気がたくさん含まれていますので、 羽根布団のように適度な温度を保ちます。
- 板張りは寒い時期には冷たく感じますが、畳はヒヤッとする冷たさかを感じません。
- 調湿効果
- い草畳表+ワラ床の6畳間では、約3リットルの吸湿能力があるといわれており、 乾燥してくると水分を放出してくれるので、自然の湿度調整機と言えます。
- 高いクッション性
- 畳は弾力性に優れ、発育期の子どものバランス感覚を養うのに効果的だと言われています。
- フローリングの床と違い、畳にはクッション性が高く、衝撃を吸収するため、転んでもけがをしにくく安心です。
- リラックス効果・睡眠効果
- イ草には森林浴の香り成分である「フィトンチッド」が多く、リラックス効果をもたらします。
- また、畳表の匂いは、い草本来が持っている「干し草の香り」と、泥染めの時に使う「染土」がブレンドされたものであり、 この香りが嗅覚的にも優しいと言われ、自然のアロマテラピーとしての効果もあるといえます。
- 畳はアースカラーで目にも優しく、触れた感じも心地よいです。
- 色における心理学では、ベージュのようなアースカラーは筋肉の緊張を解きほぐし、心を癒す効果があると言われています。
- また畳の上に敷いた布団に寝るほうが、ベッドに寝るより背骨に良いということもわかっています。
- 吸音効果
- タイヤを使った実験では、床表面に柔らかい素材を使うほど、衝撃音が吸収されることがわかっており、 床に畳を敷くことで音が軽減されます。
- 集合住宅の2階以上にお住いの場合、お子様の足音など下の階の方への気を使われる方も多いようです。できれば、畳のお部屋がある住宅であれば、軽減が期待できます。
- 力学的強度
- い草の繊維は驚嘆するほどの強度があり、細い紐でも車を引っ張ることができるほど強靱です。