目指しているのは『あなたに頼んでよかったの言葉』
3代目としての覚悟
代表取締役 久保 浩通
創業1910年、ずっと畳店として引き継いできて私で3代目になります。
これも初代、2代目がきちんとした仕事をしてきたという証だと自負しております。
3代目となり、先代が積み上げてきた、信頼と実績をこれからも維持しなければならないという思いで、常に最後まで丁寧に仕上げるというこだわりを持っています。
畳文化を継承する覚悟
私は32歳で畳店を継ぎましたが、当時は先代や職人さんの仕事を見て、技術を磨いてきました。
今では「またお願いしますね。」とお客様からご注文依頼があると、常にお客様の立場に立った製品作りへのこだわりを認めていただいているように感じると同時に、これからも変わることなく、畳文化を継承するためにも、丁寧な仕事の大切さを実感しています。
新しい仕事のやり方で畳文化を守る
提案することで畳の価値を見せる
後継者として畳職人になった当時は、畳は「待つ」仕事であり、こちらから提案するという風潮ではありませんでした。
しかし、高度成長期を経て、現在は住宅事情により、従来の畳の需要は減る傾向にあります。
反対に畳の種類もデザインも使用方法も多様化し、単に和室の敷物という扱いだけではなくなりました。
つまり、住宅事情に関わらず、畳文化をご提案することもできる時代になっているということです。
時代は変わろうとも畳は残すべきもの
畳は日本の気候風土に機能する敷物であり、汎用性が高く、板張りにはない良さがあることをもっと、知っていただく必要があると考えています。
そこで、もっと畳のある生活をご提案すべきと考え、先代の時代にはない、新しい仕事のやり方で畳文化を、積極的にご提案しています。
ぴったりと納まる畳にする技術へのこだわり
初代のころの畳屋は規格品で、作り置きができていました。
昔は盆、正月には畳を変える習慣もあり、注文があればすぐに納品し、隙間があれば新聞なので詰めるといった方法でもよかったものです。
しかし、時代が変わり、隙間があっては見栄えが悪く、和室も寸法をとり、その家のその部屋にあった畳を作るようになりました。
つまり、畳はその和室用にオーダーメイドで作っていくということです。
私たちが畳を製作する前に行う採寸は和室に隙間なく、ぴったりときれいに納めるためにとても重要なものです。
畳は、尺寸法で測るため、わずかな誤差はどうしてもできるのですが、そこをどう合わせるかが腕の見せ所です。
畳職人でよかったと本当に思えた出会い
畳職人になって、お客様に喜んでいただけるというのはこういうことなんだと、今でも思い出す出会いがありました。
まだ、畳職人になって6年目のことでした。
畳替えのご依頼をいただき、採寸のため伺った和室には、わずか半畳ほどしか見えないほどたくさんの家財道具が置いてありました。
畳替えをする場合、部屋の採寸をしなかればいけませんが、これはどうしたらよいものかと思いましたが、訪問先のご夫婦はご高齢で、畳も古くなったし、きれいにしておきたいというお話も伺い、なんとかご夫婦の思いを叶えられたらと、一人で汗びっしょりになりながら、少ずつ家財道具を移動させながら、メジャーで見えない壁までの採寸を感でさぐりさぐり行いました。
採寸が終わってみれば、通常の3倍の時間がかかっていました。
奥様の「どうにかなるかね~。」の言葉に応えたい強い思い
製作をし、納品の日、家財道具を移動させ、いざ畳を納めてみると、ぴったりと入りました。
本当に嬉しかったですし、ご依頼いただいたご高齢のご夫婦もそれはそれは喜んでいただきました。
「あなたのおかげでこんなにきれいになりました。」この言葉は今でも忘れることはありません。
畳職人になって、こんなに感謝されることなど想像もしていなかった私にとっても最高の日であり、誰かの役に立つということを実感できた思い出深い出来事でした。
採寸に伺った際のご高齢の奥様の「どうにかなるかね~。」と言われた言葉、今でも忘れることができません。
和室にすっときれいに納めるための
「丁寧な仕事」これに尽きる
畳職人になった当時からずっと、変わることなく考えていること
「最後まで丁寧に仕上げるこれに尽きる」ということです。
お客様の立場にたって製品づくりをしたい
自分がお客様の立場だったら、少しでも隙間があったら納得できないし、納品に至るまでのお客様の不安に思われていることなど、質問しやすいお客様対応を心掛けています。
目指しているのは、一生のお付き合いができる畳店
畳を使っていただくお客様にとって、どのような畳店が良いのか、経営者として常に課題です。
お客様から「この畳にしてよかった!」これは、質の良い畳を納品すれば当たり前にいただける言葉です。
しかし、「畳を久保さんにお願いしてよかった!」この言葉は納品した畳に満足されただけでなく、今後もお使いいただくに値するものだと判断していただいたお客様から頂ける言葉です。
私たち久保畳店が目指しているのは、お客様の大切な和室に理想通りの畳を納めることができ、次回もまたお任せいただける、ずっとお付き合いして安心できる畳店であることではないかと考えます。
つまり、お客様と一生のお付き合いができる畳店であることがベストだと考え、目指しているところです。
未来ビジョン
畳の価値を上げていきたい、畳のファンを一人で多く増やしたいですし、価格だけで判断されるのではなく、職人が一生懸命作った製品を正当に評価していただける畳の価値を広めていきたいものです。
「久保畳店」が製作した畳には価値があると認識していただける、そのような畳を製作したいと常に考えていることです。
私たちは畳屋ですが、快適な生活ができる価値を提供させていただいているのだと念頭に置き、畳製作に取り組んでいます。
次世代も安心してお任せいただける畳店
4代目は京都での5年間の修業を終え、畳職人として働いております。
自ら志願し、畳の本場でもある京都で畳職人の技を身に着け、畳文化に対する熱い思いをもって、畳づくりに精進しています。
技術的には大切なお客様の畳製作を任せられるほどの腕前ですが、今後自分の技術を、多くのお客様の喜びにどう転換できるのかが今後の課題です。
是非、古き良き和文化の畳を新しい今の時代にも変わりなくモノづくりのできる4代目にご期待ください。